水晶振動子の等価回路
水晶振動子の振動(共振現象)は電気的な等価回路で表現されます。
一般的な等価回路は以下の通りです。
●ワンポイント用語解説●
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直列インダクタンス (motional inductance) L1
等価回路の直列アームのインダクタンスで、この値が大きいとQ が高くなり発振の安定度が増加します。
直列容量 (motional capacitance) C1
この値が大きいほど負荷容量の変化に対して周波数変化は大きくなります。
したがって高安定度の発振器にはC1を小さく、またVCXOのように周波数の変化を大きくしたい場合はC1を大きな値に設計する場合があります。
直列抵抗 (motional resistance) R1
等価回路の直列アームの抵抗で、アドミッタンス円線図におけるコンダクタンスが最大となる抵抗値。
振動子が振動する際の損失抵抗で、一般的にこの値が小さいほど振動子としては優れています。
並列容量 (shunt capacitance) C0
水晶振動子の電極間容量であり、振動子の厚みと電極面積により決定されます。
これらの等価定数は振動子の電極の厚みや面積等により変化し、一般的に小型の水晶振動子ほどC1は小さくなり、L1とC1は反比例の関係があります。
等価定数や負荷容量から算出される項目
水晶振動子はCLによって共振周波数が変化します
fLの式は水晶振動子に接続した負荷容量を変化させると周波数が変化し、CLの小さい方が周波数の変化が大きくなる事を示しています。
水晶振動子はCLによって共振抵抗が変化します
RLの式は負荷容量が接続された時のインピーダンスの変化を示しています。CLが小さくなると水晶振動子のインピーダンスが大きくなります。
発振周波数fLから回路のCLが求められます
水晶振動子の直列共振周波数が発振回路の負荷容量CLによって変化する事は以上の通りですが、実際の発振回路ではトリマーコンデンサ等によりCLを変化させて発振周波数の微調整をしています。右図は負荷容量特性の一例ですが、この特性の傾きは水晶振動子の周波数、形状、オーバートーン次数等により異なります。
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水晶デバイスのいまさら聞けない 記事一覧
vol.2 今さら聞けない、水晶振動子の等価回路定数とは?