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コンデンサ/キャパシタ

コンデンサは、直流電圧印加によって静電容量が変化します。機器内の電圧印加要因を確認し、電圧変化に見合った定格などの選定が必要になります。使用前には、この直流電圧特性を考慮して、コンデンサを選定する必要があります。

コンデンサには、電圧依存性を持った比誘電率の誘電体磁器を使用しているので、直流印加電圧が高い場合は、静電容量が大幅に変化する場合があります。静電容量を確保するためには、次のことを確認して下さい。

  1. 印加電圧による静電容量変化が許容範囲にあるか、又は制限されない用途であるか確認して下さい。
  2. 直流電圧特性は、印加電圧が定格電圧以下であっても、電圧が高くなるにつれ、静電容量の変化率も大きく(減少)なります。 したがって、時定数回路など静電容量許容範囲の狭い回路に使用される場合には、以上のことに加えて静電容量経時変化特性も考慮した上で、更に印加電圧を低くすることを推奨します。

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高誘電率系の誘電体磁器は、無負荷で常温中に放置した場合、対数時間に対してほぼ直線的に静電容量が減少していく傾向を示します。これは、誘電体磁器がより安定したエネルギー状態に移行するための現象であり、なくすことができない特性であります。したがって、時定数回路などに使用する場合は静電容量経時変化を考慮した上でご使用ください。

コンデンサの磁器誘電体は、強誘電体特性をもち、キュリー温度特性を示します。このキュリー温度以上では、立方晶形構造を示し、キュリー温度以下では非対称結晶構造となります。単結晶ではこの晶形の移行が急激であるのに対し、実際の誘電体では、一定温度範囲内でゆるやかに移行し、それは、各晶形での静電容量対温度カーブの各ピーク値と関連しています。

熱振動の影響で結晶体にとじ込められたイオンは、誘電体が、キュリー温度以下に冷却されると、長時間継続的により低いポテンシャルエネルギーに移行しようとします。静電容量のエージング現象は、このようにして起こり、これによってコンデンサの静電容量が連続的に減少します。しかしながら、コンデンサは、キュリー温度以上で熱せられれば脱エージングが起こり、エージングで失われた静電容量が回復します。そしてコンデンサが再び冷やされたときからエージングが再び始まります。

これは、磁器誘電体がより安定したエネルギー状態に移行するための現象であり、なくすことができない特性です。したがって、時定数回路など静電容量許容範囲の狭いものが要求される回路に使用する場合は静電容量経時変化を考慮した上で使用してください。

ただし、この経時変化は、誘電体磁器のキュリー点以上の温度(125℃)が加わることによって、元の状態に回復する場合もありますので、はんだ付け後又ははんだこて修正直後の取扱いには注意してください。

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はんだ付け後の修正に、スポットヒータ(又はブロワともいう。)を用いることで、こてを用いた修正作業と比較し、熱ストレスを緩和できる場合があります。
従来のこてを用いた作業の場合、カタログ又は納入仕様書に記載された条件を超えて使用すると、熱ストレスによってコンデンサ内部にクラックが生じ、絶縁抵抗の劣化に至る原因となる場合があります。
この現象は、融点の高い鉛フリーはんだ(液相温度200 ℃以上)を用いた場合、急熱急冷及び局部加熱による熱ストレスによって、発生する可能性が高くなります。
また、こて先が端子電極部に接触しないように注意する必要があります。
こてによる修正と比較し、スポットヒータは、部品全体が均等に加熱されるため熱勾配が少なく、さらに急熱急冷及び局部加熱による熱ストレスも少なく、クラックの発生を抑制する効果が期待できます。
また、極小部品を実装し、実装された部品間が狭い基板の場合、部品へ直接こてが触れる心配も回避することができます。

[修正条件]
スポットヒータの熱風出口から部品までの距離が近過ぎる場合、熱ストレスが加わり、クラックが発生する場合がありますので、次の条件で作業することを推奨します。
部品とスポットヒータとの距離は、5 mm 以上離すことを推奨します。
スポットヒータの温度は、熱風の出口温度が400 ℃以下となるよう考慮が必要です。
流量は、用いるスポットヒータの設定を最小値にすることを推奨します。
ノズルの径は、一般的なスポットヒータに付属するφ2(1 穴タイプ)を推奨します。
熱風を当てる時間は、部品の表面積及びはんだが溶融する温度を考慮し、3216 サイズ以下の場合は10 秒以内、3216 サイズを超える場合は30 秒以内を推奨します。
なお、こてによる修正と同様に、予熱後に作業することで、部品への熱ストレスは、より緩和され、作業性も向上します。

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静電容量測定の際は、カタログ又は納入仕様書に規定の条件で測定して下さい。
下記に静電容量の測定条件の例を示します。

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測定器によって、静電容量の大きいコンデンサの場合、コンデンサに測定時の電圧がかからなくなり静電容量が低下することがあります。
測定器にALC(Auto Level Control)回路のような機能があるか確認が必要になります。

測定器によって静電容量が異なる原因の多くは、同じ測定電圧を設定しても、コンデンサに実際に加わっている電圧が測定器によって異なることから発生します。
測定するコンデンサの静電容量が大きいほどコンデンサのインピーダンスが小さくなるので、測定器の出力抵抗との分圧による電圧降下の影響が無視できなくなります。
静電容量の大きいコンデンサの静電容量測定に際しては、コンデンサに加わる電圧値を自動的に設定した測定電圧と同等にするための機能が付いている測定器を使用して測定することを推奨します。
また、上記の機能回路がない測定器の場合は、テスターなどによって測定電圧の確認をし、測定電圧の調整を行うことを推奨します。

コンデンサに印加される電圧は、仕様書の定格電圧以下で使用してください。
直流電圧に交流成分が重畳されている場合は、尖頭電圧の和 (Zero-to-peak 電圧) を定格電圧以下にしてください。 交流電圧又はパルス電圧の場合は、尖頭電圧の和 (Peak-to-peak 電圧) を定格電圧以下にしてください。

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コンデンサに過電圧が印加されると、誘電体の絶縁破壊による電気的ショートが発生する場合があります。なお、不具合に至るまでの時間は、印加電圧及び周囲温度によって異なります。

機器の通常の使用状態における印加電圧の他に、異常電圧(サージ電圧、静電気、スイッチON-OFF時のパルスなど)の印加の可能性についても確認し、定格電圧以下にしてください。

直流定格電圧品については、定格電圧以下でも、非常に立ち上がりの早いパルス電圧又は高周波の交流電圧で使用する場合には、コンデンサの信頼性に影響のある場合があります。

はんだ付け条件(予熱温度、はんだ付け温度及びそれらの時間)は、カタログ又は納入仕様書に規定された範囲内で使用して下さい。
カタログ又は納入仕様書に規定した範囲を超えて使用すると、熱ストレスによってコンデンサ内部にクラックが生じ、信頼性を損なう場合があります。 特に、はんだ付けの際、急熱急冷や局部過熱はクラック発生に至る場合があります。
次の推奨例を参考に使用して下さい。

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はんだ付け時間が長すぎる場合やはんだ付け温度が高すぎる場合は、端子電極食われが発生し、端子電極固着力低下、静電容量の減少などの原因となります。

コンデンサ(3216 サイズ以下)では、チップ立ち(ツームストーン又はマンハッタン現象)に対して配慮して下さい。
チップ立ちを防ぐ対策としては、ランド寸法を小さくする、予熱をする、はんだペースト塗布量を少なくする、コンデンサ接着時の位置ずれを小さくする、はんだ付け時のコンデンサ両端子電極の熱の不均衡を小さくするなどがありますので十分検討下さい。

  1. コンデンサは、室内温度(5~40)℃、湿度(20~70)%RHの環境下で保管して下さい。その他の気象条件については、JIS C 60721-3-1の分類1K2によります。
    高温高湿環境下では端子電極の酸化によるはんだ付け性の低下や、テーピング、パッケージングなどの性能劣化が加速される場合があるので、次の期間内でご使用下さい。
    1. 表面実装形コンデンサは極力6か月以内に使用して下さい。
    2. 期間がすぎたものは、はんだ付け性を確認の上、使用して下さい。
    3. 保管中は、最小包装単位は開封することなく、当初の包装の状態で保管して下さい。
    4. 短時間であっても上記の温度及び湿度条件から外れないようにして下さい。
  2. 大気中又は雰囲気中の有害ガスによって、端子電極のはんだ付け性の劣化など信頼性を著しく低下させる可能性があります。
    コンデンサは、腐食性ガス(H2S,SO2,NO2,Cl2等)の雰囲気、また塩分を含む湿気にさらすことを避けて保管して下さい。
  3. 直射日光による端子電極及び外装樹脂の光化学変化や急激な湿度変化による結露から、はんだ付け性の劣化や性能劣化に至る場合があります。
    コンデンサは、直射日光や結露する場所に保管しないで下さい。

コンデンサを基板に取り付ける際、使用するはんだ量(フィレットの大きさ)は、取付け後のコンデンサに直接的な影響を与えるので、十分な配慮が必要になります。
適正はんだ量の確保のため、ランドパターン寸法が適正かを確認する必要があります。はんだ量が多くなる程、素子に加わるストレスも大きくなりコンデンサの割れなどの原因になるので、基板のランド設計に際しては、はんだ量が適正になるように形状及び寸法を設定する必要があります。
はんだ量が過少になると、端子電極固着力が不足し、コンデンサの脱落の原因になり、回路の信頼性に影響を及ぼす場合もあります。はんだ量が過多にならないような推奨ランドパターン寸法を次に示します。

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下記のファイルよりご確認ください。

品名表示方法(PDF/194KB)

セラミックコンデンサに許容リップル電流の規格はありませんが、以下の点を確認した上でご使用下さい。 交流やパルス電圧が連続印加され、コンデンサに大きな電流が流れるような使用条件かを確認する必要があります。直流定格電圧品を交流電圧回路又はパルス電圧回路で使用する場合、自己発熱を確認する必要があります。
一般のコンデンサは、直流用として設計されており、交流やパルス電圧の印加される回路では、電流の値が大きく、自己発熱によりショートする場合があります。

  1. 高誘電率系コンデンサの温度上昇は20℃以下にする必要があります。
  2. 温度補償用コンデンサの場合は、誘電体材料により温度上昇値の限界が異なる場合がありますので詳細は弊社までお問い合わせください。

コンデンサの表面温度は、自己発熱による温度上昇分も含みカテゴリ上限温度以下になるように確認する必要があります。
自己発熱温度はコンデンサの誘電体材料、静電容量、印加電圧、周波数、電圧波形などによって異なります。また、表面温度は、コンデンサの形状、機器への取付方法、周囲温度などによる放熱の違いによって変わります。
特に、周囲温度が変化すると同じ電圧条件でもコンデンサ特性によって自己発熱量が変化するので、自己発熱温度の確認は室温(25℃)で行ってください。