開発の背景
EV普及とSDV(Software Defined Vehicle)への急速な進化に伴い、安全なモビリティ社会に向けてADAS/ADの高度化が鍵となります。車両の中核となるモビリティコンピュータやIVIは、AIとOTAを前提とした高機能なシステムであり、高解像度LiDAR、カメラなどからの膨大なリアルタイムデータを処理するため、コネクタには大容量・高速対応かつ高い信頼性が不可欠です。
この市場ニーズに応えるため、高速伝送対応の0.5mmピッチ フローティング機構付き基板対基板コネクタ「5631シリーズ」を製品化しました。
●ワンポイント用語解説●
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SDV (Software Defined Vehicle) とは?
ソフトウェア定義型自動車。車両の性能と機能がソフトウェアとクラウド接続によって管理され、物理的な改造なしに安全機能の強化や走行モードの追加など、アップデートが可能です。
ADとは?
Autonomous Driving(自動運転)の略称。人の操作を必要とせず、システムが自動的に運転を行うことが特徴。一方、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)は、人の運転操作をサポートするもので、運転の安全性向上や事故リスク軽減などのシステムが特徴。
IVIとは?
IVI (In-Vehicle Infotainment system):次世代車載情報通信システム。車載ネットワークでドライバーや同乗者に情報や娯楽を提供するシステムです。カーナビやカーオーディオだけでなく、動画視聴やスマートフォンとの連携、インターネット接続など、快適な車内環境で運転をサポートしてくれます。
OTAとは?
無線通信を利用してデータの送受信を行う技術。Over The Airの略称。これにより、ソフトウェアやファームウェアのアップデートを無線で行うことができます。コネクテッドカーにおいては、ナビゲーションデータの更新、運転支援システムの改善・アップグレードなどに活用されます。
製品仕様
製品名 | 5631シリーズ | 使用温度範囲 | -40℃~+125℃ |
|---|---|---|---|
極間隔(ピッチ) | 0.5mm | 定格電流 | DC 0.5A/Contact※ |
対応予定極数 | 20~180極 | 定格電圧 | DC 50V/Contact |
製品サイズ | 奥行:9.9mm | フローティング量 | XY ±0.5mm |
特長 | |||
特長
1. 低背、省スペース
0.5mmピッチ フローティング機構付き高速伝送対応コネクタでありながら、嵌合高さ10~14 mm、奥行き9.9mmの省スペース設計です。なお、京セラ製5652シリーズと合わせると、10~25mmまでの幅広い高さバリエーションを網羅します。これにより、お客様の多様な基板設計ニーズに柔軟な対応が可能となります。
2. ずれを吸収し、高信頼性を実現するフローティング機構
フローティング量はXY方向ともに±0.5mm可動する構造を実現。セット内での基板のずれや製品の実装ずれを吸収し、安定した嵌合が可能です。また、はんだ接合部に加わる応力を低減することで長期的な信頼性を実現します。
3. 高速伝送対応
フローティング機構付きでありながら、特性インピーダンスを差動85~100[ohm]をターゲットに設計したことにより様々な高速伝送規格の対応が可能です。高速伝送規格PCI express Gen.4 (16GT/s)、USB3.2 Gen.2に対応します。
対応可能規格
- PCIe Gen.1 2.5GT/s~Gen.4 16GT/s
- USB3.2 Gen.1/Gen.2
- MIPI D/C-PHY
- SATA3.0
など
●ワンポイント用語解説●
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PCI Express (PCIe)とは?
パソコン内部の拡張カード(グラフィックボード、SSDなど)とマザーボードを接続するための高速シリアルバス規格。
USBとは?
パソコンと周辺機器(マウス、キーボード、ストレージなど)を接続するための汎用インターフェース。