耐電力性が必要な理由
フィルタに求められる性能の一つとして、「耐電力性」があります。
一般的にSAWフィルタのIDT電極に繰り返し電力が印加されると、IDT電極が振動し、ストレスマイグレーションが発生します。
印加電力が大きいと、振動が大きくなり、振動による発熱も大きくなります。そのことで、マイグレーションがより進行し、ヒロックが発生します。最終的にスパークし、電極が破壊されてしまいます。
そのため、フィルタには耐電力性が必要となるのです。
●ワンポイント用語解説●
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IDTとは?
くし形電極部分のことです。Interdigital Transducer(インターデジタル変換器)の略称。
ストレスマイグレーションとは?
「マイグレーション」とは、物質が動いて移動することを指し、ここでの「ストレスマイグレーション」とは、振動した時の応力によって金属原子が拡散して動いてしまうことです。
ヒロックとは?
金属表面に発生する半球状の突起物。電極の故障原因となります。
京セラの耐電力技術
近年、5G通信への移行で安定かつ高品質な通信環境が求められ、回路の複雑化などによっても、より高い耐電力性が必要となっています。
そこで京セラでは、耐電力技術(高耐電力設計/ IDT電極構造の最適化 / TC-SAW構造による高放熱性)により、優れた高耐電力性を実現しています。
データは全て京セラ調べ
優れた高耐電力性を実現する3要素
- 高耐電力設計
- IDT電極構造の最適化
- TC-SAW構造による高放熱性
同じ30dBm(=1W)の電力を入力し続けた場合に予測される耐電力寿命は、従来の2年以上に対して、新技術は100年以上保持されます。