開発の背景
高速・大容量、超低遅延、同時多数接続を特徴とする5G通信が今、IoT技術の進展に伴い本格的な導入時期を迎えています。
中でも、先行して進められているのが5G基地局の設置です。5G基地局の設置については年々、小型化の需要が高まっており、通信の品質を担う水晶発振器においても小型化、かつ高精度が求められています。
こうした状況を背景に、京セラでは携帯通信端末で使用されているデバイスにてトップシェア※を誇るTCXO(温度補償型水晶発振器)の特性をさらに良化させた高精度TCXOを開発しました。現在、5G基地局用として量産中です。
※ 調査会社レポートに基づく当社推計
製品の概要
高精度TCXOは、スマートフォンなどで多く使用されているTCXOよりも、温度に対する周波数安定度を1/10程度にまで安定化させました。
また、小型水晶振動子の開発で培ったばらつきの少ない水晶振動子を用いることで、極めて温度特性の優れた製品を供給することが可能となりました。
現在、低遅延通信を実現するための基準クロックとして、5G基地局にて実際に採用されています。
周波数温度特性例:
データは京セラ調べ
高精度TCXOの一例 KT5032Fシリーズの製品検索はこちら カタログ(PDF/250KB)
製品の特長
使用ICの内部発熱や小型・密閉構造などによりセットの内部温度が上昇する中、これまでOCXO(恒温槽制御型発振器)では困難だった+105℃動作で、±0.1ppmの値を実現しました。
- 標準出力周波数 [MHz]:10、19.2、20、24.576、26、30.72、38.88、40
- 外形寸法 :5.0 x 3.2mm、7.0 x 5.0mm
- 周波数温度特性 :±0.1ppm or ±0.28ppm / -40 ~ +105℃
高精度TCXOの代表的な規格
項目 | MIN. | MAX. | 単位 | 条件 |
---|---|---|---|---|
標準出力周波数 | 10 | 40 | MHz | |
周波数温度特性 -40 ~ +105℃ |
-0.1 | +0.1 | x10-6 | ±(Fmax-Fmin)/2*F0 1℃/分の温度勾配 |
電源電圧変動 | -0.1 | +0.1 | x10-6 | 3.3V±5% |
負荷変動 | -0.1 | +0.1 | x10-6 | 15pF±10% |
トータル周波数安定度 | -4.6 | +4.6 | x10-6/20Y | 初期偏差、+25℃・20年のエージング、電源電圧変動、負荷変動、及び温度特性 |
周波数スロープ | -0.05 | +0.05 | x10-6/℃ | 温度変化は1℃/分 |
位相ノイズ 20MHz | - | -90 | dBc/Hz | 10Hz offset |
- | -140 | 1kHz offset | ||
- | -150 | 1MHz offset |
詳細な規格は各製品検索ページ及びカタログよりご確認いただけます
KT5032Fシリーズ 製品検索ページ カタログ(PDF/250KB)
KT7050Aシリーズ 製品検索ページ カタログ(PDF/240KB)
KT7050Bシリーズ 製品検索ページ カタログ(PDF/240KB)
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主な用途
- 5G基地局、ネットワークなどの各種無線・有線通信インフラ
- 高精度測定器の基準クロック
5G基地局での例
5Gで要求される低遅延通信を実現するための基準クロックとして高精度TCXOが採用されています。